「時」の残酷な手が、いまは忘れ去られた時代の

絢爛豪華な品々を汚すのを見るとき、

かつては高々と聳えていた塔が崩れ落ち、

不朽の真鍮が死の怒りに屈するのを見るとき、

飢えた大洋が大陸の王国を侵食し、

あるいは固い台地が大海原を攻略し、

一方が失って他方が増やし、一方が増やして

他方が失う、そのくり返しを見るとき、

この世にあるものはすべて有為転変し、

栄華の極みにあるものも破滅するのを見るとき、

廃墟が私に一つの考えを与えてくれるのだ。

いずれ「時」がきて愛する人を連れ去るだろうと。


  この考えは死のようなものだ、手にあるものを

  失うことを恐れながら、泣くほかないのだから。

Shakespeare's Sonnets No,64
水底の歌
10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20  結
2005.8/8〜2006.1/18 脱稿2006.2/11 外伝脱稿

<完結>
水に映る月(水底の歌 外伝) F子様 キリ番リクエスト
きらきら星(水底の歌 外伝) しょう様 キリ番リクエスト