「時」の残酷な手が、いまは忘れ去られた時代の
絢爛豪華な品々を汚すのを見るとき、
かつては高々と聳えていた塔が崩れ落ち、
不朽の真鍮が死の怒りに屈するのを見るとき、
飢えた大洋が大陸の王国を侵食し、
あるいは固い台地が大海原を攻略し、
一方が失って他方が増やし、一方が増やして
他方が失う、そのくり返しを見るとき、
この世にあるものはすべて有為転変し、
栄華の極みにあるものも破滅するのを見るとき、
廃墟が私に一つの考えを与えてくれるのだ。
いずれ「時」がきて愛する人を連れ去るだろうと。
この考えは死のようなものだ、手にあるものを
失うことを恐れながら、泣くほかないのだから。